セフレの実態2


「そもそも、何でみんなあの先輩二人と仲良しなの?あたしと知り合う前から知ってるよね?」



疑問その1。

あたしよりも接点がなさそうなのに、みんなが先輩達を知っていた上に、同期二人はセフレってるってこと。

トサカが少し前でグレープフルーツの匂いを嗅がせ合いっこしている隆二とゆき乃先輩を見ていた瞳をこちらに移した。



「ああ、それは”MOAI”だよ。さっきの店。あそこに集う仲間って奴。俺はうちの店長とあの二人が同期ってのもあって、すぐに紹介された。店の雰囲気も気に入ったし、自然とあの店に通うようになって、そこに隆二と岩ちゃんも連れてったわけ。で、すぐに気に入られて持ち帰りされたってわけ」



…持ち帰りなんて言葉、久々に聞いた。



「でもトサカ達だって寮生だよね?そんな頻繁に外出ってできるものなの?」

「え、普通にできるっしょ」

「だって申請出さないとだし…早々大事な用事も頻繁に起こらないだろうし…」



もじもじ言うあたしを不思議そうな顔で見下ろすトサカ。

え、なに?

ズイって顔を近づけるトサカの睫毛の長さに思わず見とれる。




「お前もしかして真面目に申請だしてたの?一々理由書いて…」

「え?うん…」



ブハって吹き出したトサカはあたしの肩に腕を回してそのまま頭をポンポンってする。

え、今?

何で??



「まぁ、そういう真面目くさった美月も嫌いじゃないけど、可愛いし…。教えてやるよ。あの申請全く意味ないし、ぶっちゃけ寮長も見てねぇよ。形式上そういうシステムにはなってるけど、それやってる奴はほとんどいねぇ。だいたい先輩たちに教えて貰うって感じなんだけど…。そんなんあったら隆二も岩ちゃんも寮なんて入ってないだろ。食堂あって飯が食えて寝れればねぇ、普通のとこよりずっと安いし…」




ガーン…。

知らなかった。

もっとテツと同じ時間を過ごせると思って寮から抜けだしたのに…



「そう落ち込むなって、あの二人と一緒なんだから、一人よりかは断然楽しいんじゃねぇの、これから…」

「うん、その通りだよ!トサカも遊びに来て?」

「おう。美月の部屋泊まっていいの?」



顔を覗き込まれてそんな言葉。



「ソファーで寝てね!」

「ったく!…お前抱き心地良さそうなのに…」



…何か言った?

あたしを抱いていいのはテツだけなんだけど!!

…これからテツに少しでも多く逢えるんだろうか。

自由に外出外泊できると思うとそれだけで心が浮かれそうだった。



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