「わぁ―――…」
大安吉日、本日えみ先輩と岩田の婚約お披露目会。
MOAIを貸し切ってのパーティーが開催される。
もちろん朝から準備にとりかかっているあたし達。
田崎さんがえみ先輩を綺麗に仕上げているその姿はやっぱりちょっとだけ切ない。
でもヘアメイクをしてってどんどん綺麗になっていくえみ先輩は素敵で、あたしの憧れだ。
昨日ゆき乃先輩にネイルをして貰ったあたしは、今日朝からトサカに髪を弄って貰っていた。
「あ、可愛い美月!」
そんなあたしを見に来た今市隆二くんは、手にTiffanyの袋を持っていて、それをスッとトサカの荷物の上に置いた。
「臣ここに置いとくよ」
「あーサンキュー隆二!」
…新作?トサカもTiffanyなんてつけるんだ?
だけど隆二の視線はあたしに降りてきて、ニッコリ微笑んだ。
「きっと似合うよ、美月に」
「…―――え?あたし」
「隆二!サプライズぶち壊すなよ!」
「え、ごめん?俺知ってるのかと…」
苦笑いで謝る隆二に、どうやらそのTiffanyはあたし宛のサプライズなんだって理解した。
「あーあ、美月聞かなかったことにしといて?」
「…もう聞いちゃったよ」
「んじゃ知らなかったことに!」
「もう知っちゃったよ!」
「だよねぇ。まぁいいや。とりあえずお前終了。次、ゆき乃さん呼んできて?」
馬子にも衣装並みに仕上がった自分を見て少しだけドキドキした。
こうして自分を華やかに着飾るのは得意じゃない。
でもえみ先輩と岩田の門出だと言うのならそれは思いっきり楽しみたい。
椅子から降りてゆき乃先輩を探しに行くと会場のテーブルにブーケを飾っていた。
「わ、綺麗。ゆき乃先輩トサカが準備できてます」
「ほんと?行く行く!美月も一緒においで」
「え、はい…」
2人でトサカの所に戻るとゆき乃先輩がトサカの前に座った。
[ - 113 - ]