「はめてみて?」
尻尾を振って期待大で私を見つめる岩ちゃんに心の中の不安がガラガラと音を立てて落ちていくような気がした。
「うん」
左手薬指を飾る煌びやかなダイヤモンド。
しばらくの間その綺麗さに見とれていた。
私の指にこれがはめられる日がくるなんて、思ってもみなかった。
「気に入った?」
「うん、すごく!」
「はぁー…よかった。本当は一緒に選ぼうかとも思ったんだけど、どうしても俺がえみさんに一生つけて貰うの決めたくて。サプライズ成功?」
「成功!岩ちゃんありがとっ!」
腕を伸ばす岩ちゃんの胸に飛び込んだ。
ぎゅっと抱きしめてくれる腕は、私より少し年下なのに強くて温かくて、何よりも優しい。
こんな私をその全てで守ってくれる。
いつだって私のことを第一に想ってくれる人。
こんな人、この世の中どこを探しても岩ちゃんしかいないよね。
「…岩ちゃんすき、だいすき」
「え、どうしたの?急に。嬉しいけどえみさんそーいうのあんま言わないよね?」
「言いたくなったの。恥かしいから流してよ!」
「やだ、顔見せて。俺の目見てもっと言って?」
顔を覗きこまれて真剣な岩ちゃんの表情にドキッとする。
こんな顔だったっけ?こんな、男らしかったっけ?
ドキドキして心臓が痛くて…「好きよ…」小さく囁くと、そのままベッドに押し倒された。
私を熱く見つめる岩ちゃんをぎゅっと抱きしめる。
これが私の幸せ、それでいいんだよね?
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