■ 想い1


【side ゆきみ】



逢いたくて



逢えなくて



逢いたくて…




―――――――――――――――



あれからどのくらいたったんだろうか?


哲也…


逢いたくて死にそうだよ。


奈々、どうしてる?


直人、わたしを捜してる?



…――壊れそう。




カチャッ。


窓のないこの部屋、一定の時間になるとドアが開いてワタルが入ってくる。



「餌だ餌。食えよちゃんと」



ワタルの言葉にわたしはフンッと身体を逸らした。


こんな奴が持ってきた物なんて、食べられるわけがない。


隔離されたみたいなここは、薬をやってる奴が沢山いる。


女に薬を飲ませてハイになってヤルのを楽しむ奴らが溢れている。


わたしのこの食事にさえ、何かしらの薬が入れられているかもしれない。


違うかもしれないけど、ワタルを信用なんてさらさらできない。


とにかくわたしは取られた携帯を取り返そうと必死だった。


ワタルの目的を哲也に知らせないと。


奈々をここに連れてくるようなことは、わたしがさせないんだから!



でも…――――


どうすればいいのかなんて分からなくて。


ここには直人もいない。


わたしの脳みそが考えるのなんて簡単に見破られるようなことばかりで。



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