■ 言の葉7


「哲也が言ったあの言葉ってことか?」


『そ、そう』



自分で聞いたくせにこんなにも答えを聞くのを緊張してしまうのは、ノリが絡んでいるからかもしれない。


タカヒロはテーブルに置いてあるシャンパングラスを人差し指で引き寄せると、それを持ってゴクリと飲んだ。


答えを考えると、聞くのが怖くもあるけど、


タカヒロが哲也くんと同じ言葉を言うとは限らないし、むしろ…



「チーム八代目としては、ノリに手を出されんのは御免だ」


『………』



「けど、あの日俺は一馬にノリを託した。だから万一ワタルがノリの所に行ったそん時は、ノリを守るのは一馬の役目だろ。哲也は今までずっとノリを一番に守らなきゃって自分に言い聞かせてきたから、まぁ仕方ねぇーのかもしんねーけど…本当に大事なもんは見失っちゃいけねぇと思う」


『………』


「ワタルがノリの名前を出したら俺がワタルに言えんのは¨俺の女は奈々だ¨ってそれしかねぇと思う」



タカヒロの指があたしの前髪をクルンッて掠めた。



「それで奈々を危険に晒すのは正直したくねぇけど…」



一回逸らした目を又すぐにあたしに向ける。


真っ直ぐな瞳にあたしは顔が熱くなる。



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