■ 言の葉6


『あ、鍵…』


「あんな邪魔は二度と御免だ」



そう言うけど、さっきゆきみに飛びついたあたしをタカヒロは温かい目で見守ってくれて。


至る所にタカヒロの優しさが溢れていて、あたしは毎日それを見つけている。



あたしが、ゆきみよりもノリを意識しないでいられるのは、こうやってタカヒロがあたしを大事にしてくれているからだって、すごく思う。


もしもあの時タカヒロがいたら、ワタルにああ言われたタカヒロは何て答えるんだろうか。


それを聞いたらあたしはどんな気持ちになってしまうんだろうか。


ゆきみの気持ちに自分を置き換えたら、当たり前にすごく胸が痛かった。


もしタカヒロが同じ事を言ったとしたら?



『ま、待って!』



邪魔が入ってこれないあたし達。


このムードをぶち壊したのはあたしで。


いぶかしげなタカヒロの瞳は、それでもどこか優しさを含んでいる。



「どうした」


『うん、あのね…あの…タカヒロだったら、どうしたかな? って』



あたしの言葉に更に瞳を揺らすタカヒロは、あたしの胸元から顔を上げた。


ベッドの淵に斜めに座って髪をかきあげる。



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