■ 言の葉5
【side 奈々】
『乾杯』
ゆきみ達と別れて部屋に入ったあたし達は、改めてシャンパングラスでまだ終わってほしくないクリスマス気分を味わっていた。
ベッドに座ったままあたしを後ろから抱きしめるタカヒロの身体は熱を帯びている。
『タカヒロ、眠いの?』
「なんで」
『だって身体熱いよ。暴走の後だし眠いのかな? って』
そう言ったあたしのうなじにチュッてキスをするタカヒロは耳元で「バーカ」って言った。
そのままあたしの浴衣に腕を潜り込ませて…
身体の力が抜けそう…
「お前抱きしめてっから熱いんだよ」
わざとらしく耳元で囁いて、浴衣のはだけた背中のラインをタカヒロの熱い舌がなぞった。
潤む瞳で見つめると優しい笑みが返ってきて…
でもハッとしたように苦笑いをして、あたしから離れた。
ベッドから下りたタカヒロはスタスタとドアまで歩くと、ガチャッと鍵をかけて戻ってきた。