■ 言の葉2


『指輪、タカヒロと二人で選んだの?』



話題を変えたわたしに哲也の顔も普通に戻って、でも聞いた内容が気まずかったのか、曖昧な笑顔を見せた。


ベッドに寝転がって煙草を吸う哲也は、温泉あがりで浴衣を着ている。


浴衣から肌がはだけて見える姿にわたしはどうにも心拍数が上がっていく。


別にそんなつもりじゃないんだけど…


哲也があんな宣言とかするから。


煙草を持つ指はしなやかで、加える唇はほんのり潤っていて綺麗。


背も伸びて、身体も骨張ってきて…


…ヤバイ、変な気分。



今更ながら、哲也の事を意識している自分が恥ずかしくて、窓の外を見つめる。


静まり返ったこの場所は高台にあって、窓の外はイルミネーションとはまた違う夜景が広がっている。


ほんの数時間前のわたしだったらこの夜景を見ても何も感じなかったと思うと、


後ろにいる哲也がわたしを離さないでいてくれてよかった。



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