■ 大事なもの9
「奈々…」
『………』
「好きだ」
聞きたかった言葉。
これがあたしにとって、何よりのクリスマスプレゼントだって。
ムード作りの上手なタカヒロに、まんまとハマったあたし。
このまま何も起きないでほしい。
平和に過ごしたいって願いを、叶えてほしい。
誰も傷つかないで。
もう誰も泣かせたくない。
どうかゆきみを守って。
「大丈夫だ、奈々も、ゆきみちゃんも…チームの奴らも、誰もどこにもいかせねぇ。俺が全部守ってやる」
あたしの気持ちを理解してくれるタカヒロが嬉しくてたまらない。
タカヒロがそう言うなら、大丈夫って気がするのは、あたしがタカヒロを信じているから。
あたしを唯一助けてくれたタカヒロだから、タカヒロなら何とかしてくれるって思う。
タカヒロと出会えてよかった…――――――
「延長料金、五千円払って貰えます?」
聞こえた声色に目を開けると、そこには――――
『ゆきみっ!』
あたしとお揃いの指輪をつけた笑顔のゆきみと、哲也くんがいた。