■ 大事なもの7
でも、そんな展開思い浮かべていなかった訳でもなくて。
近づくタカヒロの喉元にそっと手を添える。
タカヒロの瞳があたしを見て、不満げな表情に変わる。
『ゆきみ、来るって?』
「部屋二つあるから、一つは俺と奈々。もう一つが哲也とゆきみちゃん用。だからあいつ等もここに来るから、その前に…」
そう言ってあたしの首筋に舌を這わす。
タカヒロの温もりが落ちると、あたしの頭の中は真っ白になってしまって。
ゆきみの事とか、聞きたい事が沢山あるっていうのに…
見下ろすタカヒロの目が色っぽくて。
「奈々…メリークリスマス」
握りしめられた手にキスをしたタカヒロがその指にスッと嵌めたのは、キラキラ光るシルバーリングで…
あまりに自然に嵌めたから何の違和感もなくて。
見て見てと言わんばかりに視線を送るタカヒロに、あたしは左手の薬指に嵌められた指輪を見入った。