■ クリスマス前夜祭4
そんな光景、あたし達を何も知らない人が見たら、単に彼氏のプレゼントを買いに来た彼女って映ってしまうんだろうなって。
そう思うと、プチWデートみたいなこの感じに途端にドキドキしてしまうあたし。
…ゆきみは直人にもプレゼント買うのかな?
楽しそうにアクセサリーを物色しているゆきみに、あたしは一歩近づいて耳元で囁いた。
『ね、直人にも買うの?』
『ん?直人?…まぁ。でもケンチにも買うつもりだし、タカヒロは奈々に任せたからわたしは遠慮するね』
『そっか、あたしもケンチに買おうかな…あ、直人も』
ゆきみに便乗するみたいにアクセサリーがかかっている棚を見つめて。
ふと手にしたブレスレットがちょっとケンチっぽくて、あたしはそれを手にしたまま、腕に付けたケンチを想像してしまう。
『ケンチっぽいね』
ゆきみの言葉にハッとしてあたしはブレスレットを元の位置に戻した。
ケンチは大事だけど、あたしが好きなのはタカヒロだもん。
気持たせるような事はしちゃいけないよね。
結局あたしは、タカヒロとゆきみにだけプレゼントを買った。
それから三日後のクリスマスイヴ。
始まりがイヴだなんて、悲しすぎる。