■ 根付く恐怖3


不安な心を抱えているからこそ、こうやって温もりを与えてくれて、少なからず守られているって感じる事が出来て安堵感が増す。


仮にもそれが好きな人なら余計に安心できるんだって。



「あいつがどこまで分かってんのかは知らねぇーが…」



そこまで言って口をつぐむ哲也くん。


伏し目がちにゆきみを見つめると、繋がっていた左手を離した。


でもすぐに、その手をゆきみの肩に回して、右手でゆきみの右手を強く握った。


それからあたしに視線を送った。


ドキッ!っと身構えるあたしがビクッと肩を震わせると、ソファーの背もたれにタカヒロの腕が回される。






「今回も、女を狙ってる」



小さくでも、ハッキリとそう言った。






- 20 -

prev / next

[TOP]