■ 根付く恐怖2
こういうの¨仲間¨っていうんだよね。
初めての仲間にあたしはやっぱり嬉しくて顔が緩む。
あたし達がいるソファーの前、対面に置いてあるソファーに座っていた他のチームの総長達が立ち上がって哲也くんとゆきみに場所をあけた。
遠慮がちなゆきみの腕を引き寄せて自分の隣に座らせる哲也くんの表情は固い。
これから言われる事にあたしは心拍数が上昇していて。
不安な顔のままタカヒロを見つめると、優しく見つめ返してくれた。
たったそれだけで心が落ち着くあたしは、そうとうタカヒロに信用を置いているんだってこと。
「今、ワタルが偵察に来た」
ソファーに座るなり、間髪いれずに哲也くんが口を開いた。
ほんの一瞬ざわつくVIP部屋。
あたしには、ワタルって人がどんな人で、どんな事をしてきたのかが何一つ分かっていない。
だからか、哲也くんのその言葉を、どこか客観的に聞くしか出来なくて。
真剣な表情の哲也くんは、ゆきみの手を握りしめて離す気配がない。
そうする哲也くんの気持ちが優しさを帯びていて。
そうされるゆきみの気持ちもよく分かる。