■ 再会9


「ゆきみ、大丈夫か?」



哲也くんが地面にしゃがみ込むゆきみの肩に手を置いて聞くけど、ゆきみは俯いたまま何も答えなくって。



「帰るか?」



そう聞く哲也くんに小さく首を横に振った。


それからゆっくりとあたしに視線を向けて哲也くんの手を掴んだ。



『ちゃんと教えて、わたしと奈々にも。わたし達に護衛がついてたのはワタルが出所したからなの?だからみんなソワソワしてるの?』


「分かった、話すから」



ゆきみが震え上がる程に、震え泣く程に怖い事も、過去を知らないあたしには理解出来なくて。



「ケンチ、直人。奈々連れて一緒に来い」



後ろのあたし達に向かって哲也くんがそう言うと、「はい」ってケンチがあたしの腕を掴んだ。


ゆきみを抱えた哲也くんに続いてVIPの中に入ると、真ん中の黒いソファーに座っていたタカヒロがあたしの腕を引いて隣に座らせた。


二人掛けのその座り心地のいいソファーであたし達が聞いた話しは、現実味がなくて、



そうまるで…


作り話しのような現実話しだったんだ。



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