■ 再会5


【side 奈々】




『直人飲んでる?』



クテ…って直人に身体を預けるゆきみは、見た感じ酔っていて。



「飲んでるよ、ゆきみさん」



そう言って、肩に寄りかかっているゆきみの髪を優しく撫でている直人。


こんな光景も見慣れていた。


タカヒロと哲也くんは、VIPにこもって、今日一緒に走りに出た配下チームの総長達と込み入った話しをしているとか。


何がどう?とか具体的には分からないけれど、ここ最近チームの子達があたしやゆきみを監視している気がしてならない。


そこまでは言いすぎなのかもしれないけど、妙に視線を感じてしまう。


タカヒロに聞いても何も言わないし。


だから…―――――





『ケンチさ、何か知ってるでしょ? チームが抱えてること』



突然のあたしの問いかけに、今まで笑っていたケンチの目が一瞬にして真顔に変わった。


隣にいる直人の視線も鋭くってあたしと目を合わせようとしないのは、それがあたしやゆきみには「言えないこと」だって意味を持っているから。



「どしたの?」



ほんの少し困惑したケンチの声が返ってきた。


クシャッてごまかすみたいにケンチの大きな手があたしを撫でた。


でもそれは本当にごまかしだったみたいで、瞳の奥は動揺を隠しきれてはいない。


ずっと一緒に過ごしてきたケンチが、隠し事をする癖すらあたしには見抜けてしまうんだ。



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