■ 再会3
少しずつ女子が増えた事によって、チームの男子達も危ない橋を渡らないように心掛ける子が増えて。
たまにわたしや奈々も話しかけられたりして。
だからって、哲也が下っ端の子と話すなんて事は当たり前にないけれど。
ただ、奈々には笑顔を見せる様になったってわたしも思う訳で。
そんな中、ケンチと直人もこうして特攻デビューを果たして…
何もかもが平穏無事に進んでいるって思っていたわたし達。
でも水面下では既に事が起こっていて、わたしや奈々は新ルールの元、チーム全体に守られていたなんて。
知らなすぎるのは、やっぱりそれも罪なんじゃないかと思う―――――
『ケンチ、おめでとう』
瓶ビールをラッパ飲みしていたケンチに向かってそう言う奈々は、今日もタカヒロのジャケットをしっかりと羽織っている。
別にもうみんな顔なんかとっくに覚えているけど、わざわざ冬用のジャケットを作ったタカヒロは、そうとう独占欲が強いんじゃないかと、わたしはひそかに思っている。
「奈々、ありがとう」
『直人も、おめでとう』
「ありがとうございます」
そう言って視線をわたしにずらす直人。
ドキッと胸が高鳴ったのは言うまでもない。