■ 再会2
ケンチと直人の特攻デビューパレードは無事に終わって、先に戻ってきていた面子がお祝いの準備をしていたから、VIPに行く哲也から離れてわたしはその準備を手伝う事にした。
『ゆきみ、こっちこっち』
哲也と擦れ違う様に、バーの入口から出てきた奈々の手には大きなお皿が乗っていて「危ねぇな」って、哲也がヒョイっとお皿を持ち上げる。
『哲也くん、大丈夫だって、重いでしょ?』
「重いから運んでるっつーの」
柔らかくそう言う哲也はわたしを瞳で引き寄せた。
「俺ん時はこんな祝いなかったぜ、たく」
お皿をテーブルに置くと投げやりな言葉を吐く哲也。
『これもタカヒロの作ったルール?』
「知らね」
そう言って哲也は今度こそバーを抜けてVIPに消えて行った。
『最近哲也くん、よく笑うね』
奈々の言葉にわたしは微笑んだ。
いつからか、必要以上に言葉を発しなくなった哲也は、基本わたしとノリ以外の女子に話しかける事もなかったあの頃。
青倉庫への出入り自体が、女は許されない空間だったからか、哲也が口を開く事はほとんどなくて。
それが一辺して、今のチームoneには下っ端の子の女達も青倉庫への出入りが許されるようになった。