■ 嵐の前の静けさ7


「お前、今から興奮させるよーな事言うんじゃねぇよ。…連れて行きたくなくなんだろっ」


『哲也モテるんだもん、わたしと違って』


「興味ねぇよ、ゆきみ以外」


『えへへ』



照れ交じりのわたしの笑みに、哲也は軽いキスをくれる。


哲也ならきっとそう言ってくれるって思っていた。


ちゃんと、わたしが欲しい言葉をくれるって。





だから…―――自惚れていたのかもしれない。




あの日閉じ込めた気持ちが、又わたしを苦しめる事になるなんて、思いもしなかった。


嵐の前の静けさは、ほんの一瞬で終わりを告げる――――




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