■ 嵐の前の静けさ5
それはほんの少しなんだろうけど、こうする事のできなかったあたし達の時間を埋めるかのようで。
いつもよりも強引に動き回るタカヒロの舌に、あたしの口内は熱くなっていく。
「言うなよな、もう」
『え?』
「¨変な物¨…って。変な事してる気、ねぇーんだけど」
拗ねた理由が分かったあたしは、今もまだ拗ね気味のタカヒロを愛しく思って。
『淋しかったよタカヒロ』
そう言ってソファーに押し倒されたあたしは、胸元に顔を埋めるタカヒロのサラサラの髪に指を差し込んだ。
「分かってる」
熱いタカヒロの吐息があたしの素肌に落ちていって…
感情が高まっていく。
これから大事な暴走があるのに。
みんながもう待っているのに。
タカヒロの舌も手も、何も止まる気配がない。
それをあたしも望んでいない。
今この瞬間が、離れられないんだ。