■ 嵐の前の静けさ4
シーンと静まり反った部屋にタカヒロの小さな溜息が零れて。
あたしの隣、ソファーに座ってるタカヒロは大股開いたその上に肘をついて壁を見つめていた。
『タカヒロ…』
「なんだよ?」
『怒ってる?』
「いや」
そう答えるけどタカヒロは壁側を向いたままであたしを見てくれない。
学校が終わった後、青倉庫に来るまで何かをしているのか、中々会う時間が少なかった。
きっとあたしが聞いても分からない事なんだろうし。
ただ、青倉庫には色んな人が出入りしてたりで、タカヒロがいてもVIPは来客に使っていたりで。
こうやってタカヒロと触れ合う事が、軽く久しぶりで。
だからゆきみの気配にも気づけなかったんだろうな。
できればタカヒロとは分かり合っていたいんだ。
『ごめんね』
顔を背けたままのタカヒロに、あたしは横からギュッと抱き着いた。
腰のラインに回した腕に力を込めると、タカヒロがこっちを向く気配がして。
抱き着いたまま顔を上げたあたしに優しいキスが降ってくる――――