■ 大切な笑顔4


哲也のバイクの後ろに乗って、哲也の家に帰る。

相変わらず生活感のないこの家は、哲也とわたしの二人っきりで。

哲也の部屋に入った瞬間、腕を引き寄せられてそのままベッドに押し倒された。

被さる哲也は、初めてわたしを抱いたあの日みたいに余裕がなくて。

すでに荒い呼吸を隠しきれずにキスを繰り返していて…

少し強引に脱ぎ捨てた学ランの下、サラシも片手で緩めていって。

簡単に服を脱がされたわたしはそのまま哲也の全てを受け入れる。

久しぶりの感覚に、興奮しているのは哲也だけじゃなくて。

初体験の時とは全く違う快感の波に身体をよじらせる。



「ゆきみ…」



愛おしそうに名前を呼んでくれる哲也。

甘い空気に自然と笑みが零れる。



『哲也…』

「…悪い一回イかせて…」



余裕のない哲也は、本当に余裕がなくて。

いかにわたしを抱くことを我慢していたのか思い知らされた。

哲也の律動に身を任せながら、暖房を入れたせいで汗すらかいている哲也を下から見るのは最高の眺めで。

わたしの上で甘い声を零す哲也をずっと見ていたんだ。



「…ック…」



眉間にしわを寄せて顔を歪めた哲也は小さく肩を震わせてゆっくりと動きを止めた。



『哲也…平気?』



頬に手を添えて見上げると、そっと目を開けてすぐにわたしに軽くキスを落とした。

それからニって笑って「最高…」そう言ったんだ。

その笑顔を見て…あの日無くした笑顔はわたしだけじゃなかったんだって。

あまり感情的な方じゃない哲也だけれど、わたしや奈々達の前ではよく笑っていて…

大切な笑顔を取り戻せて本当によかったと思わずにはいられない。

頬の手を首に回して哲也を引き寄せるわたしは、そのまま哲也にキスをする。

何度も何度もキスを繰り返しながらクルっと身体を回転させてわたしが哲也の上になった。

大きく呼吸を繰り返す哲也の身体を指でなぞるとビクンっとして…



「好きにしろよ」



そう言って力を抜くんだ。

だから哲也の髪をそっと撫ぜて、わたしが哲也の身体いっぱいにキスを降らしていく。



『好きよ哲也』

「俺も…」

『愛してる、哲也』



わたしが言うと、少しだけ泣きそうな顔をして「俺も愛してる」そう答えてくれた。


この幸せな時間がずっと続くように…

そう願わずにはいられない。


きっと外の星たちも、わたしと哲也を見守ってくれている…

そんな最高に幸せな夜だった―――――――




- 190 -

prev / next

[TOP]