■ 大切な笑顔2
哲也の大きな愛に胸がいっぱいになる。
熱い想いが自然と込み上げてくる。
『哲也…好き。わたし哲也が好き。これからもずっと哲也の傍にいたい…』
そう言うとまた哲也がわたしと距離を作る。
両手でわたしの頬を包むように触れて…「確認しとく…」そう言うと、真剣な顔でわたしに問うんだ。
「直人に抱かれてねぇよな?」
…哲也の本気だって思った。
だから嘘は通用しない。
わたしも本気で答えないと…そう思った。
でも…言葉よりも先に溢れてしまったのは涙で。
泣き出すわたしの涙を拭うことなくジッとただ静かにわたしの答えを待っている。
言わなきゃ…言わなきゃ…そう思えば思うほど口は固く閉じて…
嗚咽を繰り返すわたしに哲也はそっと目を逸らしたんだ。
もう、ダメかもしれない…
そんな弱気な言葉がわたしの脳内を掠めて…
「大事なことだ、ゆきみ。ちゃんと言えよ」
もう一度哲也に諭される。
『哲也ごめん…わたし…わたし…』
呼吸が上がって胸の奥が苦しい。
でも言わなきゃならない。
「目見て言え」
強く言う哲也の目を見て小さく口を開いた。
『抱かれてない…。でも…キスはした…ごめんなさいっ…』
この涙みたいに、その事実も流せたらいいのに…
そう思わずにはいられない。
「…俺を忘れたことはあった?」
それでも優しくそう聞く哲也に『ない…』涙ながらに答えると「んじゃ今の聞かなかったことにしてやる」…わたしをまた胸に抱きしめた。
ポンポンって規則正しくわたしの背中を撫ぜる哲也は、大きく呼吸を繰り返していて。
「言ったろ?」
耳元でそう言われて、でも一体何のことかわたしには分からなくて。
考えても脳内真っ白で…何も言えずに嗚咽を続けるわたしに向ってまた優しく呟いたんだ。