■ 一番大事なもん5
タカヒロの合図でわたしのoneの久しぶりの暴走が幕を開けた。
直人の忠告を守って、超安全運転の広臣。
ずっと哲也の後ろに乗っていた中学の頃。
高校に入ると哲也は特攻にあがったから、わたしを乗せるのはケンチであり、直人であり。
その二人も今はもう特攻で…
変わっていないのはわたしだけなんだと。
煌びやかなテイルランプと爆音。
この世界にずっといたわたしは、もう他の生活なんてできなくて。
世間はわたし達をただの柄の悪い不良だと思っている。
常識もなくて、ルール違反ばかりしているただのガキだと。
間違っていないと思う。
誰かに縛られるのは好きじゃないし、喧嘩だってしょっちゅうする。
交通違反なんてもっての外、騒音だって迷惑だ。
でも、それが哲也の飛び込んだ世界で。
わたしはどうしても哲也と一緒に居たかった。
哲也がノリを追いかけていようと、わたしの哲也への気持ちは変わらなかったし。
哲也の気持ちがわたしにしかなかったことを知った時は、もう死んでもいいってくらい嬉しかった。
一人じゃいられないから群れをつくって。
誰かを守るために強くなれる。
それを教えてくれたのが、このoneだった。
わたしは今までどれだけ大切な人を守ってこれた?
ねぇ哲也…わたしの出した答えは、間違いじゃなかったかな…?