■ 制御6
『ケンチ…逢いたかったっ…』
ケンチへの溢れる気持ちがあたしの涙に混ざって流れ出てくる。
静かな病室に、あたしの啜り泣く声が響き渡った。
『みんなに連絡…』
ハッとして立ち上がるあたしに「待って」そう声をかけるのはケンチ。
「待って、顔…ちゃんと見せて、奈々…」
ケンチの手がそっとあたしに向かって伸びてくる。
その手を迷わず掴んだあたしは、ケンチのベッドに近づいた。
あたしの頬に触れるケンチの手は、変わらず温かくて…
「奈々…」
『………』
「ごめん…けど…――好きだ」
二度目の告白は、ハッキリとケンチの言葉で、ケンチの気持ちを伝えられた。
重くて、深くて、でも…直人みたいな直球をぶつけてくるケンチに、あたしの胸はドキンといってしまう。
応えることができないよって、そうあたしの表情で伝えるも、ケンチはあたしの返事なんて関係ないって感じ、その腕を伸ばしてあたしを胸元に引き寄せてちょっとだけ強引に抱き寄せた。
『ケ、ケンチ』
「言うな!何も言うなよ…」
掠れたケンチの切ない声に、胸が締め付けられてしまう。
ゆきみも、こんな思いで直人の気持ちを受け止めていたのかな?
ケンチが弱っているからとか、そんなんじゃなくて、今あたしはただ…
―――どうしてもケンチの傍にいたいと、思ったんだ。