■ 制御4


『やめない、だって…もう直人しかいないもん…わたしを抱きしめてくれる人なんて』


「ゆきみ…」



強引にわたしを振り向かせる直人は、いつも以上に真剣な顔をしていた。


哲也と同じ、わたしと同じ色の赤い髪が微かに揺れて、直人の真剣な顔、ゆっくりとわたしに近づいてくる…


こういうことを想像していなかったわけじゃないし、直人は絶対止められないんだって、それも分かっている。


少なくとも、哲也の恋人だったわたしに、今までも何度かこの行為をしてきたことすらある。


でも、こうしてちゃんとするのは勿論ながら初めてで…



「嫌なら拒否って」



切なそうにそう言う直人を、拒否なんてできるわけがない。


ズルイのは、わたしも直人も一緒なのかもしれない。


そっと目を閉じたわたしに、直人の熱い唇が重なった…――――



戻ることのできない出口に向かって。



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