■ 制御3


「帰さない」



絞り出すような直人の声に、胸がキュンとする。



『直人?』


「ゆきみの望みは全部叶える…俺がどんだけゆきみを好きか…ちゃんと分かってる?」


『…え』


「いいの?我慢しなくて」


『………』


「俺もう、我慢しないよ?ゆきみのこと…気持ち止めねぇよ」


『…止めてたの?』


「いや…止めてねぇか」


『うん』


「けどもう…制御きかねぇ…やめるなら今のうち」



そう言いながらも、わたしを抱きしめる直人の腕には力が込められていく。


我慢できないって直人の気持ちがそのままダイレクトに背中から感じる鼓動を通してわたしに伝わっているのが分かる。



直人がどれだけわたしを好きか…


考えると胸が痛くて…



いつだって哲也の次にしかわたしに接することができずにいたこの直人。


それが今、こうしてわたしが哲也と別れたことによって、直人のところに言わば逃げたようなもん。


それでもこんなわたしを受け入れてくれるのは、世界中どこ探したって直人しかいないと思う。


直人と一緒に居たら、不安になるなんてことはもう、ないんだって思える。


それだけ直人の愛情は真っ直ぐにわたしだけに注がれているから…



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