■ 制御2
『直人にお願いがあるの…』
「うん」
『…―――付き合って』
「え?」
『…わたしと、付き合って』
「…え?ゆきみさん、意味分かんねぇ…」
当たり前に困惑した声を漏らす直人。
わたしを見つめる瞳にあきらかに動揺が見える。
だから、わたしは隣に座る直人の腕をそっと握った。
ピクンって直人の身体が軽く動いて…
『哲也と別れた』
そう告げたわたしの声は、しっかり震えていた。
「え…」
黙り込んだ直人はどうしたらいいか分からないような表情を見せている。
いくらわたしの頼みだって直人にだって選ぶ権利はあるか…
倉庫じゃわたし以外の女とも話したりしてるし…
『ごめん、都合よすぎだね。忘れていいから』
そう言ってベッドから立ち上がったわたしはそのまま直人の部屋を出て行こうとドアまで歩く。
でも、ドアノブを手にした所で、後ろから直人の腕がわたしを抱きしめて…―――
肩に頭を乗せてわたしを自分に引き寄せる直人の身体はとても熱い。
トクン…トクン…って背中に感じる直人の心音にわたしも緊張が走った。