■ 悲しい嘘7
ずっと心に留めていたこと…
そうした方がいいのかもしれないって思っていた。
でも、わたしにはそんな勇気がなくて、いつも自分に甘えていて…
これ以上oneの重荷になりたくないんだ。
哲也…許して…
『はぁっ…んっ…』
ギュッと上り詰める快感に顔を歪めながら哲也にしがみついた。
わたしの上で大きく呼吸を繰り返す哲也の心拍数は、全力疾走したかのように速い。
甘い吐息を放つ哲也を胸に抱きしめた。
真っ赤な髪が顎に当たってフワフワと揺れている。
『哲…也…』
わたしの呼びかけにほんの少し顔を上げる哲也。
スッと哲也の下から出るわたしはそのまま服を着てベッドから下りた。
まだ余韻に浸っているのか、哲也は動かないでジッとわたしを見ている。
だからわたしは髪を整えて真っ直ぐに哲也を見つめた。
『わたし…信じきれなかった、哲也のこと』
「…え…」
『…―――――直人に抱かれた…――イヴのあと…』
重たい空気がわたしを責めている。
怖くて、怖くて、哲也の顔を見ることができない。
何もしていないのに身体が震えて…
肩が揺れる…
何か言ってよ、哲也…
『だからごめん、もう哲也のものじゃない…』
携帯を握ると、わたしは部屋を出て行く。
物音一つたてていない哲也に、不安が過ぎるけど、そうさせたのはわたし。
…――もう、重荷はいや。