■ 悲しい嘘4
【side ゆきみ】
ケンチが個室に運ばれるとタカヒロと奈々も付き添うように入って行った。
わたしは正直疲れていて…「帰るぞ」そう言う哲也の後を無言でついて行った。
きっと今、哲也がやらなきゃいけないことは沢山あるんだろうけど、わたしを第一に考えてくれる気持ちが嬉しかった。
そこに素直に甘えるわたしは、早く哲也と…―――
家に着くと、ママがわたしを抱きしめた。
『お帰り、ゆきみ』
『…ただいま』
温かいお風呂を沸かしておいてくれたママに諭されて、わたしはお風呂に入りに行った。
洗面所のドアが閉まる寸前、玄関先で哲也がママに謝る声が聞こえたんだ。
たっぷり温まったわたし、2階にある自分の部屋に入ると、わたしのベッドにもたれてコクっと舟を漕いでる哲也。
あんまり顔色がよくない哲也も、わたしがいない間中ずっと寝てないんだって思った。
わたしはベッドの上から哲也の脇に腕を回して、そのまま一気に哲也を引き上げた。