■ 悲しい嘘2


『奈々、きっと大丈夫…』



涙目でそう言うゆきみは又痩せていた。


あたしのせいでワタルに曝われたゆきみ。


きっと又一馬の時みたいに絶食していたに違いない。



「違げぇから。奈々ちゃんが責任感じることなんか一つもねぇから。ゆきみのことも、ケンチのことも、タカヒロのことも…」



ゆっくりと優しくあたしの髪を撫でてくれる哲也くんは、あたしの気持ちを分かってくれているみたい。



『そうだよ奈々。哲也の言う通り。わたし達は仲間として当然のことをしてるだけ。…奈々がわたしと同じ立場でも同じことをするでしょう?…わたし達は奈々が大好きなんだから』



二人とも、あたしが責任を感じないように最善を尽くしてくれているんだ。


その気持ちは有り難いけれど、それを簡単に納得できるほど、あたしは可愛くない。



「ケンチをやった奴は、薬の常習者だ。頭キレてやがったあいつ。でも今頃あいつもどっかの病院にいるから安心しろ」



哲也くんの顔の傷がその証のよう、きっと遅れてきた理由はそれだって。


すぐにあいつをやり返してくれたんだって分かった。



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