■ 太陽みたいな笑顔6


『ケンチ…』


「うん?」


『………』


「いいよ、何でも言えよ。…――力になるから」



まるでタカヒロと同じ。


親父の暴力から助け出してくれてるタカヒロと同じよう…


今度はケンチが助けてくれるなんて…



「言いたくねぇーってことは無理には聞かねぇけど、奈々ちゃんが困ってるなら、迷わず助けるから」



ポンッてケンチ大きな手、あたしの頭に触れた。


その手を掴むあたし、ほんの一瞬ケンチがピクリとした…





『…帰りたくない、…帰れない…』


「………」



見つめた先のケンチ、ちょっと顔を赤くしていて…


慌てて首を横に振った。



『あっ、違う!そういう意味じゃなくて…あの家には帰りたくないって意味で…』



何だかあたしまで動揺して真っ赤になってしまう。


ケンチはほんのり目を細めて微笑んだ。



「そーゆう意味ってどーゆう意味?」



からかうみたいにあたしの肩に腕をかけて顔を寄せてそう言った。


冗談だって分かってるけどこんな展開すら慣れていないあたしはただ恥ずかしくて…



『えと、だから…そのね…』


「冗談だよ。…奈々ちゃんが本気なら曝っちゃうとこだけど…」


『え?』


「サンキュ、俺のこと信じてくれて」



…あたしの台詞だよそんなの。


涙を浮かべるあたしに、気づかないフリをしてくれる優しいケンチ。


ケンチがみんなに好かれているわけが分かった。


みんながこんなにも慕うわけが分かったんだ。




…―――――――



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