■ 太陽みたいな笑顔3
「俺の奈々に触んじゃねぇっクソが」
絶体絶命のピンチを救ったのは、
―――ケンチだった。
どうしてあたしに気づいたの?とか、
みんなは?とか…
絶対にあたしを守ってくれるだろう大きな背中に安心して、ホッと一息ついた瞬間だった。
あたしの前、大きな背中がユラリと揺れて…
「クソッ…」
苦しみを含んだようなケンチの声。
何が起こったの?
目の前にある大きな背中が鈍い音を立てて地面に崩れ落ちた。
疼くまるケンチの腹部には、信じられない光景…
『やっ、ケンチ…ケンチっ…ケンチっ、ケンチィっ、いやあぁぁぁぁ―――――っ』
顔から血の気引いていくケンチは、それでも刺した奴を睨みつけていて。
あたしの悲鳴に気づいただろう、沢山の足音が近づいてきた。
『えっ奈々っ?どうしてここに……ケンチ?いやっ、ケンチやだっやだっ!』
ゆきみがあたしとケンチに気づいて、あたしを抱きしめるみたいに包み込んでくれて、その温もりに張り詰めていた糸が切れたかのよう、涙が溢れた。
ただ、ケンチにしがみついてワンワン子供みたいに泣くしかできなくて…
哲也くんやらみんながすぐにケンチを病院に運んだ。