■ 太陽みたいな笑顔2


「やっとお出ましかよ、奈々さんよ」



ハッと振り返ると、いやらしい笑みを浮かべる知らない男。


oneに見つからないようにしていたあたしは、完全に雅のことが頭から抜けていた。


ここは雅のたまり場。


しくじった。



『oneは全員解放してくれたんでしょうね? あたしが来たんだから金輪際ゆきみやoneのみんなに手を出さないって約束してくれるよね』



決して怯んじゃいけない。


弱さを見せたら負けだ。


そう思うのに、まるで金縛りにでもあっているかのよう、あたしの身体は動けない。


目の前のそいつの手中には、銀色に輝くナイフがキラリとしている。


こんな物騒なもの、oneの子達は持っていない。


雅ってチームはこーいう奴らばかりなんだって、へどが出そうだった。


脅しだって分かってる。


でもやっぱり足が動かなくて…


一人ぼっちなことを悲しく思った。


今ここであたしが大声出して助けを求めたなら、すぐそこにいる哲也くん達が助けに来てくれる。


でもそれをしたら結局振り出しに戻るだけで、何の解決にもならない。


だからあたしがここで踏ん張らないとダメなのに…





…――怖い。


怖くて震える。


薬、この人もやってるんだよね?


目の焦点合ってなくない?


一歩…また一歩と、ゆっくり近づくそいつに後退りもできないあたしは、oneのみんなを守りたい!だなんていっちょ前に思ったくせに、結局一人じゃ何もできないと思い知らされる。


単なるエゴに終わりそうなこの戦いは、あたしがまだ辛うじて堪えていることを知ってか、知らずか…


目の前のそいつ、ニタリと口端に笑みを浮かべた。


その物騒なものをカチャカチャと振り回しながら…



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