■ 想い7
【side 奈々】
青倉庫の中が慌ただしく動いた。
あたしの携帯はケンチに持っていかれたままで。
タカヒロの出て行ったドアを見つめていたあたしはバーを抜けて外に出た。
大きな輪のような人だかりの中心には携帯で話している哲也くん。
哲也くんのすぐ横にはあたしの携帯を握ったタカヒロ。
その二人を囲むように集まっているoneのチームメイト。
飛び交う言葉はやっぱりな言葉で。
「ワタルのたまり場どこだっ?」
「薬やってるとこだ!」
あぁ、あたしのせいだ。
あたしのせいでゆきみをワタルに渡してしまったんだって。
目の前が涙で滲んでいく。
それでもあたしが出て行かなきゃこの無意味な争いを繰り返すだけなんだって。
ゆきみを取り替えしても、あたしが出なきゃワタルはどんな手を使ってでも、またゆきみやチームの子を危険に曝すだけだって。
そんな争いは二度とごめんだ。
いつも何も知らずにただチームに守られているだけなんてもう、嫌なんだ。
あたしが原因というのなら、せめてあたしがケリをつけなきゃならない。
それを全力で止めるタカヒロを傷つけてしまうかもしれないけど、
あたしが行くんだ。