■ 想い5


【ゆきみ?】


『うん?』


【目星がついた、今すぐ助けてやるから、少しだけ待てるか?】


『大丈夫』


【じゃあ一端切るぞ】



『うん』と言った時にはもう既に通話終了の冷たい機械音に変わっていて。


それだけ急いでくれている哲也を嬉しく思ったんだ。




『ワタル、どうしてうちのチームを狙うの?』



哲也はすぐに来てくれる。


そしてわたしをここから助けだしてくれる。


でも、ワタルと話をつけなきゃ何も終わらない。


何も変わりゃしない。


哲也との電話が終わったわたしを静かに見つめていたワタルは、深く大きな溜息をついた。


側にある大きなソファーに座って、煙草を取り出す。



『なんでoneなのよ?』


「お前には関係ねぇ」


『理由も言えないのに監禁?』


「お前変わったな」


『は?』


「前のお前はいつもビクビクしてた。ノリは元気なのかよ?」



ワタルの言うビクビクはそう、わたしがノリと哲也のことでビクビクしていたってことで…


あの頃のわたしは哲也の気持ちも分からず、ただノリを好きだと思っていたから…



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