■ 着信7


「誰だ―――」



シーンとした部屋にはタカヒロの声と、携帯越しに聞こえる男の声。


ゆきみからの着信なのに、聞こえる声は男の声で、


タカヒロもケンチさえも、怖い。


オーラが怒っている。



あたしはいつも何も気づけなくて、みんなに守られてのうのうと生きている。


どうしてこんな風にゆきみが犠牲にならなきゃいけなかったんだろう。


その答えを思うと辛い。



あたしが、タカヒロを好きにならなきゃよかったんだ。


あたしがこの人を好きになったせいで、大切な親友を危険に晒してしまうのなら…



…胸が苦しい…―――



足がビクビクしていうことがきかなくて、あたしはストンッとソファーに倒れこんだ。



「奈々っ、大丈夫かっ!」



ケンチがあたしの側に駆け寄ってくれて…


振り返ったタカヒロは、哲也くん並の舌打ちを鳴らすと、「話は後だ」そう言い付けて携帯をケンチに投げた。



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