■ 着信3


『ゆきみ、おたふくって言ったよね? 違うの?』


「………」



ケンチが何も言ってくれないから不安になる。



『ゆきみに何かあったの?』


「何もねーよ、奈々が心配することは何もねー。…けど、ゆきみちゃんに会うのはまだ止めとけ」


『どうして?』


「どうしてもだ!!」



ほんの少し、¨気持ち¨程度かもしれない。


でもケンチの口調が強くて…


答えをくれないのはケンチなのに、あたしが責められている気分になる。





青倉庫の空気がおかしいことなんてとっくに気づいていた。


みんながここにいない理由だって、きっとそう…


何よりタカヒロがあたしの側にいてくれないってことは、タカヒロ自身が動いているってことで。


それはいつだってあたしやゆきみ関係のことで。


本当ならケンチだって動きたいはず。


何かがなきゃ、みんな青倉庫に入り浸っているもの。



『あの女の子は、どうなったの?』



あたしの質問に顔を上げたケンチは、しっかり目を見開いていて。


煙草の煙りがVIP部屋を充満している。



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