■ 着信2
と、その時…
テーブルの上に置いてあった携帯がメール受信の音を鳴らす。
たった一人、ゆきみ専用の着ウタが流れて、あたしは笑顔で飛びついた。
『……ケンチ、ゆきみ治ったみたい!会いたいって』
「え?」
あたしを見つめるケンチの視線が驚く程怖い。
だからあたしは身体を後ろに、ケンチを見返す。
『ケンチ…?』
「メールって、ゆきみちゃん?」
『うん…』
「…見せてくれねぇ?」
あまりに真剣なその表情に、あたしは右手に持っていた携帯をそのままケンチに差し出した。
じっと携帯画面を見つめるケンチ。
『タカヒロがいないのは、ゆきみと関係があるの?』
恐る恐るそう聞くあたしに、ケンチは言葉を捜すみたいに視線を泳がせている。
真っ黒な短髪を掻きむしって、静かに煙草に火をつけた。