■ 絶対ルール10
『ケンチ?』
「…奈々…ゆきみちゃんだけど……」
そう言うケンチの声の低さに、胸騒ぎがする。
胸がギューって締め付けられるみたいに苦しくて…
「おたふくやってなかったらしくてよぉ…昨日の夜から高熱出して寝込んでんだ。…顔パンパンで熱も高いから、とうぶん会えねーって、さっき哲也さんから連絡きた。…奈々に¨心配すんな¨って伝えろって…」
ケンチの言葉に拍子抜けしてしまうあたしはヘナヘナとテーブルに手をついた。
『な、んだぁ。ケンチがかしこまるから、てっきりワタルにでも捕まったのかと思ったよ』
大きく息を吐き出すと、苦笑いを返すケンチ。
『そっか、ゆきみ…おたふくか。後でメールしとく!』
「初詣、俺が連れてってやるよ」
そう言ったケンチに小さく頷くと、物凄く寂しそうにケンチが微笑んだ。
【one】のルール
薬は絶対やらない
一般人には絶対手を出さない
仲間を裏切らない
タカヒロさんと哲也さんの女は、自分の命を張ってでも守りぬけ
二人を悲しませることは、許されない