■ 絶対ルール8
【side 奈々】
大晦日。
二人であたしの家に到着するなり、タカヒロはすぐにあたしを抱いた――――
何度も、何度もあたしを抱いた――――
完全に疲れたあたしは、そのまま幸せな気持ちで眠ったんだ。
年が明けたらタカヒロに一番に『今年も宜しく』って新年の挨拶をして、それからゆきみ達も一緒に初詣に行って、おみくじとかひいて…
そう思っていたのに。
朝、目が覚めたあたしの部屋には、タカヒロの姿がなくて…
「…はよ」
ベッドの足元に胡座(あぐら)をかいて座っていたのは、ケンチ。
『ケケケ、ケンチっ!なんで?タカヒロは?』
布団を目の下まで捲り上げて、顔を隠すあたしを見て優しい笑みを浮かべるケンチは、寝ていないような疲れた顔で。
「ん〜ちょっと用事…」
曖昧な返事を返すケンチにほんの少し違和感を感じるけど…
それが何なのかは、分からない。