■ 絶対ルール1
【side ゆきみ】
願わくばあの人に逢わせて…
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八代目のLong Laodが始まってから40分。
それまで何もなかったわたし達に不意に携帯電話の音が響いた。
直接哲也の携帯を光らせたその着信に、哲也は話しながら何度も舌打ちを鳴らした。
「ふざけやがって」
「調子のらせるかよ」
「ぶっ殺してやる」
…そんな罵声を容赦なく飛ばす哲也に、わたしは顔を歪めた。
「俺が行くってタカヒロに伝えろ、奈々には言うんじゃねぇぞ、絶対だ」
ドキッとした。
¨奈々¨って呼ぶ哲也に。
その瞳は真剣そのもので、わたしは哲也の手をキュッと握った。
すぐにわたしの手を強く握り返してくれる哲也。
それだけでちょっと安心する。
わたしにとって哲也はそんな存在。
「――分かった、すぐ車よこせ」
パタンと携帯を切ると哲也は小さく息を吐き出した。