■ Long Laod8


「タカヒロさん、どうぞ」


「あぁ」



タカヒロに腕を引かれてあたしは用意されていた別の車に乗り込んだ。


タカヒロ専用の高級車とは違う、でも車体の低い改造された暴走車。



「奈々、ワタルがLong Laodの邪魔しに来た。念のために、俺等は倉庫に戻る。心配すんな」


『ゆきみは?哲也くんとゆきみは?』


「ゆきみちゃんはもう倉庫に向かってる。哲也がワタルを巻いてくれる、大丈夫だ。哲也を信じろ」


『おとり…』



哲也くんは信じているけど、あたしが出ていかないせいで、こうやってチーム全体に迷惑がかかってると思うと…。



「奈々?」


『ごめんなさい、何もできなくて』


「お前のせいじゃねぇーよ。これがチームのルールだ。誰もお前のせいだと思ってねぇ。悪いのはワタルだ」



タカヒロの言葉にあたしは頷いたけれど、それでも心を埋めつくす大きな不安と罪悪感は消えない。


あたしができることは限られている。


チームがあたしを隠しているのなら、絶対に捕まっちゃいけないんだ!




こんな風に大晦日の暴走を止めたワタルのチームMIYABIは、ある意味その名をここら一体に知らすこととなる。


oneの歴代総長が黙ってるわけない。


そんな当たり前なことにも気づけないあたしは、ただ早くゆきみに逢いたい…と願うばかり。


先に青倉庫にいるんだろうゆきみに、早く逢いたいと思っていた。



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