■ Long Laod4


【side 奈々】



まさか、あのゆきみの笑顔が最後だなんて。



『またねっ!』ってゆきみの言葉が最後だなんて、




あたしは―――思いもしなかった。










大晦日の夜、街道を爆音を鳴らしながら走るあたし達。


後部座席から見えるテイルランプがキラキラと綺麗。


あたしの車を囲むoneの仲間達は皆、楽しそう。


この日の為にエンジン改造してきたのを披露していて。


街道の両サイドは野次馬なのか何なのか、沢山の人があたし達が通り過ぎるのを見ている。


タカヒロのいるこの車を見ると、左右色んな所から歓声が上がる。


それに応えるみたいにエンジンを鳴らすoneのバイク隊。


銀色の旗が風を切って世間にoneの存在を見せ付ける。



『綺麗…』



ついポロッと出た言葉に、あたしの隣にいたタカヒロが笑った。



「奈々も、完全にこっちの人間だな」



クシャッて前髪を触られて。



『どうして?』


「普通は怖がるだろ、女は。綺麗なんて言わねぇーぞ」


『そうかな…でも、タカヒロに近づけたみたいで嬉しいな』



そう笑ったら、タカヒロから小さな溜息が漏れて。


目を逸らすと、カチッて煙草をつけた。


同時に閉まっていた窓を開ける。


煙りが抜けるように窓を開けてくれたんだと思うけど、パレードを囲む野次馬達は、タカヒロの姿を確認するなり、再び馬鹿でかい歓声があたしの耳に届く。



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