■ Long Laod2


青倉庫をうならす数え切れないバイクと車。


開始の合図を今か今かと待っている。


特攻隊であるケンチと直人は、真っ白な特攻服を背にギラギラとした視線をこちらに向けている。


隣にいる哲也がわたしに視線を移して優しく笑う。



「怖い?」



顔を覗き込まれてそんな確認。


別に今更怖さなんて感じない。



怖いというならばそれは…―――



―――哲也の気持ちが離れること。




『怖くない』



そう告げると哲也は口端を緩めて小さく笑った。


わたしの意思を確認した哲也。


開け放たれた窓から腕を前に出して、その合図を出す寸前、反対側の哲也の腕に触れてその動きを止めた。



『待って』


「どうした」



ウィーンってわたしの席の窓を全開すると、隣にあるタカヒロの暴走車の窓が開いて、奈々が顔を出した。



『ゆきみ?』


『奈々っ、またねっ!』



わたしが手を振ると奈々はすぐに笑顔になって手を振り返してくれた。



『哲也、合図したい、わたし…ダメ?』



ちょっと上目使いで哲也を見つめると、困ったような瞳が揺れて。


わたしの腕を引っ張り寄せた。



片手でわたしの手首を握ったまま、わたしを膝の上に乗せるとチュッて軽くキスをした。



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