■ 秘めた独占欲9


「ゆきみ」


『………』


「好きだ」


『………』



それは、心からの『好き』?


それでもほんの少し笑うわたしに顔を寄せる哲也。


チュッ…って短いキスの後、すぐに哲也の舌がわたしの口内に入り込んで甘い音を奏でる…―――



腰に回された哲也の腕が強くわたしを引き寄せて、もう片方の手がわたしの背中を優しく撫でる。


ギャラリー関係無しにその行為を繰り返す哲也。


ゆきみは俺のもんだって。


チームのみんなに…


すぐそこにいる直人に…


何よりわたし自身に分からせる為に。



――――でも、わたしが欲しいのはそんな行為じゃない。



むしろ、それで縛り付ける哲也を哀れに思う。


わざわざみんなに見せつけなくても、わたしは哲也のものなのに。


あぁ…哲也もわたしを信じきれないんだ。


言葉や行為をどんなに繰り返しても、胸ポにッカリ開いた穴はそう簡単に塞がらない。


悲しいけど、それが今のわたしと哲也の現状だ。



全てをワタルのせいにできたら楽なのに…


そうさせたのは、哲也であり、…わたし自身。



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