■ 秘めた独占欲8
【side ゆきみ】
結局こうやってわたしを迎えに来るのは当たり前に直人で。
哲也を突き放したら、このまま本当に離れてしまうんじゃないかとも思う。
どこまで面倒臭い女に成り下がれば気がすむんだろうか。
哲也を困らせているわたしは、それでも哲也に迎えに来て欲しいと願っているんだ。
ゆっくりとわたしに近づく哲也は、絶対にわたしから目を逸らさない。
哲也から伸びるわたしへの一本道を空けるチームの子は、興味津々にわたし達に視線を飛ばしていて。
「抱かせて」
耳元で囁いて、わたしを腕にすっぽりくるんだ。
哲也の温もりに身体が熱くなる。
ギュウ〜…って物凄い力で哲也に抱きしめられて。
抵抗しないわたしを覗き込む哲也の瞳は不安色に染まっている。
ただ哲也が好きなだけなのに、こんなに苦しい想いをするなんて。
今もまだ消えないノリの存在に、わたしはいつまで怯えなければいけないんだろうか。
哲也を信じきれない自分が嫌で嫌で仕方ない。
いざって時に一番にわたしを守ってくれるのは、哲也じゃなくて直人なんじゃないかって。