■ 秘めた独占欲7
『あ』
走り出すあたしに道を空けるチームの子。
直人のバイクの後部座席からストンッ!と飛び降りたゆきみに駆け寄った。
『奈々っ!』
『ゆきみ…』
何泣いてんだろあたし…
そう思うのに、涙が溢れてしまって。
たった数日ゆきみに逢っていなかっただけで、こんなにも悲しかったなんて。
改めてゆきみの存在の大きさを確認したんだ。
『えっ!奈々?どうしたのっ?なんでっ?』
直人を振り返ってテンパるゆきみの左手薬指には、しっかりとあたしとお揃いのリングがついていて。
それを『よかった』と思ってしまうあたしは、ただの心配性なんだろうか。
『何もできなくてごめん』
ゆきみの腕を掴んでそう言ったら、ちょっと切ない顔でゆきみが笑ったんだ。