■ 秘めた独占欲4


間もなく21時。


あと少しで暴走が始まる。


やっぱりゆきみはいなけりゃ、直人もいない。


タカヒロがVIPから出てきたら暴走が始まっちゃう。


それを臭わすよう、バーの入口に姿を表した哲也くん。


あたしは思わず駆け寄った。



『哲也くん』


「どうかした?」



煙草を加えたままあたしを見下ろす哲也くんは、いつもと何等変わらない態度で。


でも、耳にはゆきみがクリスマスイヴにあげたピアスがしっかりとついていて。


シルバーの輪っかが小さく揺れている。



『ゆきみは?』



あたしの質問に一瞬目を伏せる哲也くん。


それは、話そうか、話すまいか迷っている…


そんな感じにとれて。


ジッと哲也くんを見上げるあたしに、切ない笑顔が下りてきた。



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