■ 秘めた独占欲3
「誰より気にしてるの、哲也さんだと思うけど…連れてこねぇーのも、哲也さんだから…」
ケンチの真剣な言葉は、少し重みがある。
哲也くんは、ゆきみを自分の側に置いておきたい人だと思っているあたしは、ゆきみを連れてこない哲也くんの気持ちが分からなくなってくる。
『直人が戻ってこなかったら、ケンチ一人で先頭走るの?』
「まぁ、そーなるな。でも哲也さんずっとそうしてたし…心配してくれてんの?」
目元を緩めてあたしを見下ろすケンチに、ドキッとする。
目を細めて笑うケンチは可愛くて、あたしはこの顔が好き。
『してる。ケンチになんかあったら嫌…』
「可愛い奴」
クシャってケンチがあたしの髪を撫でて。
いつの間にか自分達の話に転換してしまっていて。
ゆきみの笑顔に逢いたいって思いながらも、目の前にいるケンチを無視できないんだ。