■ 秘めた独占欲2
「おかしい?哲也さんが?」
『…うん。だって、こんなにゆきみが来ないの、おかしいでしょ?哲也くん、気にならないのかな?って』
そう言ったあたしに「あー…」って曖昧な返事をするケンチ。
それがちょっと可笑しい。
頬を緩めたあたしに、余計に困惑したケンチの顔。
『ケンチってモテるのに、疎(うと)いよね』
「はぁ?」って顔で、口をポカンって開くケンチは、数秒後に顔を赤くしながら目を逸らした。
黒髪をガシガシ掻きむしって苦笑いをする。
「正直俺、お前以外興味ねぇーもん。…でも、哲也さんて感情を滅多に外に出さねぇーけど…気にしてねぇってことは、ねぇーと思う」
サラリと言ったケンチの言葉。
あまりにサラっと言ったから、思わず聞き逃しそうになったけど…
その言葉はあたしを熱くさせるのに最適なような気もして。
続くケンチの言葉さえ、軽く聞き流してしまいそう。